事業概要
当社は「試作専門の会社」で今まで数々のデザインモデル・ワーキングモデルの製作を手掛けて参りました。
「試作=量産前提の製品」であると十分に認識し、量産までの工程においてお役立ていただける高品質な製品の製作に努めております。また、コスト面や納期面につきましても、できる限り柔軟に対応させていただきます。
これまで、航空機分野・自動車分野・OA機器分野・弱電分野・医療分野・産業機械分野における試作モデル・部品の納入実績があり、ワーキングモデル(試作部品)の品質・精度はもちろん、特にデザインモデル(意匠品・外装品)における仕上がりは、各分野のお客様にご好評いただいております。
試作モデル・試作部品の製作がおありでしたら、ぜひ当社にご用命ください。
プラスチック試作のいろいろな加工方法
- 光造形
- 粉末造形
- 3Dプリント
- 切削加工
- 真空注型
- 試作金型+射出成形
【通常工期】手の平サイズで3~6営業日
【寸法公差】中級~粗級
【主な材料】紫外線硬化エポキシ樹脂
【取扱材料】SCR735(ABS相当)、TSR821(強靭性)
【工法・概要】紫外線レーザーを照射することで硬化するエポキシ系樹脂を、0.1mmの厚みで重ねて、造形を行う方法
【加工工程】プログラミング→光造形→荒仕上(サポート除去)→本仕上げ(外観面の積層除去)→コーティング(塗装)
【マシンテーブルサイズ】580×480×490


【特徴】光造形の工程は深夜稼働も可能なので、切削加工に比べ工期が短く、また安価なのが一般的です。積層方式なので、アンダーカットがある形状も一体加工ができることが特長です。光造形の通常の積層ピッチは0.1mmです。一般的なコピー用紙の厚みも0.1mmなのですが、ちょうどコピー用紙を数十枚重ねた際の側面のガタガタの様な形状が、光造形品の側面にも出てきます。これを積層目といいます。この積層目を除去する場合はそれなりの手間と時間を要し、この作業を本仕上げといいます。荒仕上まででしたら、かなりコストを抑えられます。本仕上げは、その程度によっては価格も上がります。
積層方向に割れやすいので(壊れやすいので)製品に力があまり掛からない、形状確認用の試作に適しています。また吸湿性があり、熱に弱いという弱点を持ちます。メッキ処理は不可ですが、塗装や染色は可能です。

【通常工期】手の平サイズで3~6営業日
【寸法公差】中級~粗級
【主な材料】PA12系粉末材料
【取扱材料】PA2200(12ナイロン相当)
【工法・概要】粉末状の材料をレーザーで焼結させ、0.1mmの積層ピッチで積み上げて造形する方法
【加工工程】プログラミング→粉末造形→仕上げ
【マシンテーブルサイズ】190×235×310

【特徴】粉末造形の工程は深夜稼働も可能なので、切削加工に比べ工期が短いのが一般的です。積層方式なので、アンダーカットがある形状も一体加工での造形ができることが特長です。また、光造形と同様に積層目も出ます。
当社で取り扱っている積層方式の造形は、光造形・粉末造形・3Dプリントの3つがありますが、この中で耐熱と靭性に優れたものが粉末造形です。そのため、ツメ形状のような靭性を必要とする形状品には、粉末造形が向いていると思います。一方で、製品の表面がザラザラした質感に仕上がるため、意匠品の試作に用いる方は少ないです(ペーパー仕上げでもツルツルにはなりません)。
塗装することが可能ですが、吸湿性があるので塗料により製品が膨張する場合があります。

少しザラザラした質感になります

積層方式なので、積層目が出ます
【通常工期】手の平サイズで3~6営業日
【寸法公差】中級~粗級
【主な材料】紫外線硬化アクリル樹脂
【取扱材料】Visijet Crystal(タフ・プラスチック)
【工法・概要】テーブルにインクジェット方式で材料を吹き付け、積層ピッチ16~32μm(0.016~0.032mm)で積み上げて造形する方法
【加工工程】プログラミング→3Dプリント→脱脂処理→仕上げ
【マシンテーブルサイズ】290×175×195

サポートワックスは溶解して除去します
【特徴】3Dプリントの工程は深夜稼働も可能なので、切削加工に比べ工期が短いのが一般的です。積層方式なので、アンダーカットがある形状も一体加工での造形ができることが特長です。また、光造形と同様に積層目も出ます。
光造形との大きな違いの1つは、積層ピッチが細かいことです。光造形は最小ピッチが0.05mmですが、3Dプリンタは0.016mmで積層ができ、より製品の表面がなめらかな造形が可能です(ピッチ指示がない場合は、通常は0.029mmで積層いたします)。また、サポートに溶解可能なワックスを用いることが、光造形と異なるもう1つの大きな違いです。積層ピッチが細かいことと、サポートがワックスであることから、光造形が苦手とする彫刻形状でも、3Dプリントなら表現ができます。その一方で、テーブルサイズが小さいため、あまり大きな造形ができません。また材料が高価なので、それなりの価格がします。積層ピッチが細かいので、高さのある形状には、そこそこの時間が掛かります。光造形と同様に塗装が可能です。


【通常工期】手の平サイズで5~7営業日
【寸法公差】精級~中級
【主な材料】汎用プラスチック・エンジニアリングプラスチックなど
【取扱材料】ABS・PC・PMMA・POM・PA・PBT・PPS・PPなど
【工法・概要】マシニングセンタなどの加工機を用いて、樹脂板・ブロックを切削加工する方法
【加工工程】工法検討→プログラミング→切削加工→(貼合)→仕上げ
【マシンテーブルサイズ】700×400


【特徴】当社で最も歴史と実績のある事業で、プラスチック試作の筆頭といえる工法です。樹脂の板材・ブロック材を切り貼りし、製品を作ります。切削加工自体は主に機械(MC)が行いますが、その際に用いる加工プログラムの内容、分割方法、また加工後の貼り合せ技術、仕上げ技術が品質に大きく影響します。作り手には機転と経験値が要求されます。
機構部品から意匠品まで、幅広い加工経験値を有しております。特に当社の仕上げる透明製品は「非常に美しい」とご好評いただいております。二次加工もお任せください(塗装・印刷・レーザーマーキング・樹脂メッキなど)。


【切削加工の主な注意点】
・MC加工では刃物Rが残ります
・エッジ形状が必要な場合は、分割・貼合か、手加工になります
・アンダーカット形状は、分割・貼合の加工になります
・ただし、結晶性樹脂は溶剤での貼り合せができません
・公差寸法が要求されるほど、価格が比例します
【通常工期】手の平サイズで10~14営業日(マスター製作含む)
【寸法公差】中級~粗級
【主な材料】二液硬化性ウレタン、エポキシ、シリコンゴム
【取扱材料】ABS相当、透明、PP相当、耐熱、ゴム
【工法・概要】マスターからシリコン型を起工、シリコン型に材料を流し込み硬化させる方法
【加工工程】マスター製作→ゴム型起工→材料注入(真空注型)→仕上げ


【特徴】光造形もしくは切削加工にて、マスター(コピー元となる製品)を作ります。次にマスターをシリコン液の中に沈め、シリコンを硬化させます。硬化したシリコンからマスターを取り出すと、ゴム型ができます。あとは、このゴム型に二液硬化性材料(ウレタンかエポキシ)を流し込み、固めます。材料が固まったらゴム型を開き、製品を取り出します。これを繰り返し、マスターと同じ形状の製品を作る方法を「真空注型」といいます。
形状にもよりますが、もし複数個の同じ形状の製品が必要な場合、全てを切削加工で用意するよりも、真空注型により用意する方が安価で済むことが多いです。アンダーカットのある形状でも一体品として形状をコピーできます。また、調色やインサートも可能です。
【よくいただくご質問】
汎用樹脂(エンプラ)での注型を頼みたい
真空注型で用いることのできる材料は「ウレタン」「エポキシ」「シリコン」のいずれかです。一般樹脂の相当品(グレード)がありますが、その物性値は汎用樹脂(エンプラ)のものとは、全く異なります。あくまで“形状のコピー品”としてお考えください。
薄肉形状ですが、加工できますか?
形状にもよりますが、薄肉形状を作ることが難しい場合が多くあります。特に厚みが0.5mm以下の形状には注意が必要です。全ての薄肉ができないという訳ではございませんので、その都度にご相談ください。
何個でも作ることができますか?
形状や大きさにもよりますが、ゴム型の寿命は15~20個とお考えください。それ以上は形状に不具合がでたり、寸法が大きく外れたりする可能性が大きくなります。
【通常工期】手の平サイズで14営業日~
【寸法公差】精級~中級
【工法・概要】金型の作りが異なりますが、大まかには量産成形と変わりません
【加工工程】打ち合わせ→試作金型の起工→射出成形→仕上げ

【特徴】通常は1~2ヵ月ほど掛かる量産金型に対し、試作金型は圧倒的な速さで起工し成形を行います(2週間ほど)。そのスピードの第一要因は、金型材料にアルミ材を用いることです。生涯ロット数は量産型には敵いませんが、量産時と同じ材料での製品を、短期間でご用意致します。
当社では、金型製作と射出成形を同一工場内でしており、金型の修正や緊急対応も迅速に柔軟に取れるようにしております。サイズの大きな成形品は、サイズ・納期・価格面を考慮して海外工場へ依頼できる体制も整えております(中国上海・40~350ton)。


加工方法の比較
工法 | 工期 | 精度 | メリット(特長) | デメリット(注意) |
---|---|---|---|---|
光造形 | ![]() 3-6営業日 |
![]() 中級 |
・工期が短い ・切削品より安価 |
・壊れやすい ・熱に弱い |
粉末造形 | ![]() 3-6営業日 |
![]() 中級 |
・耐熱靭性に優れる ・工期が短い |
・表面がザラザラ ・吸湿性がある |
3Dプリント | ![]() 3-6営業日 |
![]() 中級 |
・彫刻形状に最適 ・工期が短い |
・光造形よりコスト高 ・大きな造形が苦手 |
切削加工 | ![]() 5-7営業日 |
![]() 精級 |
・試作の定番工法 ・精密加工 |
・形状によっては分割&接着もしくは対応不可 |
真空注型 | ![]() 10-14営業日 (マスター含む) |
![]() 中級 |
・複数個ならコストメリット有 インサートや調色も可 |
・材料が限定される ・形状によっては対応難 |
試作金型 + 射出成形 |
![]() 14営業日~ |
![]() 精級 |
・本型より工期早め ・量産材料で成形可 |
・綿密な打ち合わせが必要 ・形状により対応不可 |
※上記はあくまで“感覚値”です。工期や精度を保証するものではありません。
※工期は小物~手の平サイズのワークを想定。
工期の比較
光造形・粉末造形・3Dプリントは、いずれも工法は積層方式です。積層方式なので、アンダーカット部も難無く形状化できるところが特徴です。概略としては「3Dデータを提供いただく→機械に掛ける」の工程なので、小物~手のひらサイズのワークであれば、切削加工に比べ早く仕上がる場合が多いです。ただし、ワークサイズが大きいものや、とても複雑な形状、数量が多い、仕上げ(磨き)に時間が掛かるものは、工期が長くなる場合もあります。

真空注型は、光造形または切削加工でマスターを製作してから注型工程に入るため、工期は長めになります。ただし、個数が多い場合は、真空注型の方が工期が短くなる場合もございます。
精度の比較
精度が求められるのであれば、切削加工もしくは金型+射出成形を提案致します。切削加工機の精度は“精級”です。光造形でもソコソコの精度が出ますが、光造形の材料は吸湿性があるため、保管環境によっては形状変化(湿気による膨張など)が起こりえます。
真空注型は精級を狙って加工致しますが、マスターおよびゴム型は加工環境・使用環境の影響(温度・湿度)を受けやすいため、精度“中級~粗級”でお考えいただいた方がいいかもしれません。
精度目安 | 0.5-3.0 | 3.0-6.0 | 6.0-30 | 30-120 |
---|---|---|---|---|
精級 | ±0.05 | ±0.05 | ±0.1 | ±0.15 |
中級 | ±0.1 | ±0.1 | ±0.2 | ±0.3 |
粗級 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | ±0.8 |
※精度の表は「精級~粗級」の感覚値をご覧いただくものであり、寸法公差を保証する内容ではございません。
※表は「JIS B 0405:1991」より一部抜粋