粉末造形(SLS)

粉末造形(SLS)について
粉末造形とは

粉末造形とは、粉末状のPA12系材料をレーザー焼結させながら積層する工法です。
一般的に積層方式のラピッド造形工法は、積層方向に対しての強度面で脆いことが弱点ですが、しかしその中でも粉末造形品はかなり丈夫な方で、ツメ形状・ヒンジ形状でもある程度機能することが特長ともいえます(※何回でも使えるわけではありません)。また、材料がナイロン素材なので、耐熱性・高耐溶剤性にも優れていることも長所といえます(耐熱性VST160~180℃)。そのため、カバーケースや保護ケースとしての加工依頼も多いです。
一方で、粉末材料を焼結して造形するため、その表面はザラザラした感触になります。また、積層目も残ります。ペーパーで磨いても、光造形のように綺麗にはなりません。そのため、意匠品の試作に用いる方は少ないです。
塗装が可能ですが、吸湿性があるので塗料により製品が膨張する場合があります。
【通常工期】手の平サイズで3~6営業日
【寸法公差】中級~粗級
【主な材料】PA12系粉末材料
【取扱材料】PA2200(12ナイロン相当)
【工法・概要】粉末状の材料をレーザーで焼結させ、0.1mmの積層ピッチで積み上げて造形する方法
【加工工程】プログラミング→粉末造形→仕上げ
【マシンテーブルサイズ】190×235×310
- 粉末造形の材料物性
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グレード PA2200 (粉末造形用材料) 材料タイプ 焼結粉末ナイロン(PA12) 色 白 引張強度(MPa) 48 引張弾性率(MPa) 1700 破断時伸び(%) 24 曲げ強度(MPa) 58 曲げ弾性率(MPa) 1500 アイゾット衝撃値(ノッチ付)(J/m) 44 ビカット軟化温度(℃) 163-181(VST) 情報元 eos社HPより
粉末造形のメリット

積層式の造形品だが耐熱性、耐久性に優れる
サポート痕が残らない
切削加工に比べ、高速で加工可能
積層方式のため、アンダーカット形状も一体加工が可能
アッセンブリデータでも造形可能
※アッセンブリデータで造形をする際にはソリッド間に0.1mm以上のクリアランスが必要です。また構造的にパーツを分解できない場合がございます。
粉末造形の注意点
表面の質感がザラザラした感じになる。磨いてもツルツルにはならない。
寸法公差が、光造形や3Dプリントより出にくい。
材料費が光造形より高め。積層目が残る。
0.3mm以下の形状は造形できない。


粉末造形の加工の流れ
(1)粉末造形用のPA12(12ナイロン)を敷き詰め、そこにレーザービームを照射し、造形箇所を焼き固める(焼結する)。
(2)1層目が焼結できたら、その上にさらに材料を敷き、またレーザーで焼結する。
(3)これを順に繰り返し、モデルを造形していく。
(4)最後に焼結されていない部分を、エアーで吹き飛ばし、焼結されたモデルだけを取り出す。



(PA2200)