ギア噛み合い試験機
ギア噛み合い試験機とは「歯車の精度を評価する」ための設備です。
通常、ギアの噛み合い試験はギア部で測定しております。
少し時間があったので、勉強も含め噛み合い試験機を触らせてもらいました。
測定準備
測定には製品ギアの他にマスターギアというものを用います。
マスターギアは非常に高価なもので触る際に厳重な取り扱い注意をされました。
当社で保有しているマスターギアは下記の通りで、これに合致するギアが測定可能です。
【保有マスターギア】
モジュール:0.5、0.6、0.8、1.0
平歯車・はすば歯車(20°-L/R)
圧力角:20°
マスターギアも製品ギアも設置の際はエアブローと専用ブラシで入念に掃除します。
ホコリ一つ噛んだだけで、等級が簡単に下るからです。とても繊細です。
測定原理
マスターギアを回転させます。すると噛み合っている製品ギアも回転します。
回転中にマスターギアと製品ギアの歯形状がとズレると、製品ギアを固定している台が動きます(1)→(2)
台が動くと、設置しているセンサーが押されます(3)
このセンサーの動きをPCへ入力し、波形を測定します
測定結果
※下記の測定結果は、全て同一の製品ギアを測定した結果です。
【1】最初に測定した際は「JGMA設定」で「1ピッチ噛み合い等級が2」「全歯噛み合い等級が0」でした。
波形をよく見ると、2箇所ほど波形が大きく飛び出している箇所があります。製品ギアを確認したところ微小なホコリが付着していました。
【2】ホコリ除去後に再測定したところ「1ピッチ噛み合い等級が0」「全歯噛み合い等級が0」でした。
→「ホコリ一つで等級が変わる」の意味が分かりました。
【3】今度は「JIS設定」で測定しました「1ピッチ噛み合い等級が8」「全歯噛み合い等級が5」でした。
JIS規格では噛み合いだけではなく、他の規定項目もあるようで、測定もとても難しい(というより、ウチでは全てを測定できない?)ようです。
お客様より「何等級までできますか?」というご質問を度々いただきますが、「JGMAで2~4等級」と返答しております。しかし、これもあくまで目安です。平歯で、汎用POM材で、簡易な形状でしたら、今回の例のように「0級」になることがあれば、材質や形状、追加工(MC後加工やギアの合体など)の有無よっては等級が前後する可能性もあります(というより測れなくなる可能性も・・・)
最終的に、お客様の「使える、使えない」のご判断をお願いすることもあるのですが、当社としては最大限に良いモノを作ろうと日々に心掛けております。